INTERVIEW

不動産オタク田端信太郎氏が語る自宅マンションの売り時(後編)

2020年を豊洲の第1ステージ完了と位置付け、自宅マンションの出口戦略を検討していた田端氏。新型コロナウイルスの影響で方針転換を余儀なくされました。売却ではなく貸し出すことを選んだ田端氏の賃貸募集の戦略は必見です。対談の終盤では不動産オタクの田端氏ならではの切り口で、港区の高級マンションの魅力や今後の不動産業界への期待を熱く語っていただきました。

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。

パネリスト

田端 信太郎氏

Carstay | CMO(最高マーケティング責任者)

新卒でNTTデータに入社後、リクルート、ライブドア、LINE、ZOZOと渡り歩き数々のメディアや広告事業を立ち上げグロースさせる。2019年12月にZOZOを退職し、CarstayのCMOを務めながら、複数の企業のマーケティングをコンサルティングしている。

松田 啓介

GA technologies | 役員

2009年に高級賃貸の仲介会社モダンスタンダードを設立。高級賃貸メディアModern Standardを月間PV150万にまでグロースさせる。2019年に株式会社GA technologiesグループに加わり不動産業界のDXを推し進めている。

馬場 康文

GA technologies | 本部長

2013年にモダンスタンダードに入社し、現在ではRENOSYの高級賃貸事業部(旧モダンスタンダード)の営業本部長を務める。これまでに仲介してきた都心の高級賃貸物件は優に1,000戸を超え、圧倒的な物件知識とエリア知識を誇る。

モデレーター

川村 佳央

GA technologies | 本部長

2005年に新卒でサイバーエージェントに入社後、株式会社アドプレイン設立、株式会社電通を経てGA technologiesに入社。GA technologiesグループ全体のコミュニケーションを統括するCommunication Design Centerの本部長を務める。

田端氏の豊洲の資産価値に対する評価

田端氏
田端氏

実は新型コロナウイルスとか東京オリンピックの延期とかがなければ、この2020年の年末から来年ぐらいは、豊洲は完全に第1ステージが完了すると考えてたんですよ。ららぽーと豊洲が駅と直結して、東京五輪もめでたく終わって、公園も綺麗になって。もうアップサイドはそんなに無いと。

松田
松田

確かに。本当だったらそう思います。

田端氏
田端氏

そうなってましたよね。ずっと頭の片隅にあったのが、「これもいつか売らないといけないんだけどどうしようかな」って。株で言ったら、「今まで散々と買いを煽ってたのに、ドテンして売りかこいつ」みたいな(笑)さすがにそう思われるな、とか心配してたくらいです。それが微妙な雲行になっちゃったから。まだまだ先高だと。

まあちょっと話変わりますけど、のらえもんさんなんかは「田端さんのマンションはビンテージになりますよ」みたいにおっしゃるんですよ。

馬場
馬場

間違いないですね。

田端氏
田端氏

不動産コンサルタントの長嶋修さん(@nagashimaosamu)とも対談させてもらったんですけど、「あそこはコンクリートが100年150年と続いてうんぬん」って凄く評価高いんですよ。

馬場
馬場

修繕積立金とかもコスパ良いですしね。

田端氏
田端氏

ここから先またさらにポジショントークが続いちゃうんですけど、すみません。最近の豊洲のタワマンってどんどん価格が高騰してきてて。

馬場
馬場

はい、かなり高いですよね。

田端氏
田端氏

内装のグレードとか色々な仕様とか、「ワイドスパンなんかとんでもない!」的な状態になってます。そういう最近のタワマンに比べると、我が物件はまだそんなに売りやすかった時の物ではない。そういう意味でも非常に差別化されてるんですよね。

今、ブランズタワー豊洲とか建設中ですけど、やはり3年〜5年ぐらいすると、やっぱこっちが良いなっていう風になるんじゃないかなと思っています。

馬場
馬場

そうですね。立地もそうですけど。2008年〜2009年築くらいの物件って未だに一番評価が高いと思います。

松田
松田

あと、田端さんの物件は間取りも贅沢ですしね。多分あれ3LDKを2LDKにしてるんですよね?

馬場
馬場

そうですよね。82.13平米ですしね。

松田
松田

結構視点がプロなんですよね。絶対需要あるなってところを突いてます。

田端氏
田端氏

まだ2011年か2012年ですかね、僕があのタワマン(アーバンドックパークシティ豊洲タワー)を購入した時ってオリンピックが決まる前でした。「新築マンションがまだこれからたくさん建つから、タワマンは供給過剰で暴落する!」って散々と言われて来ましたよね。でも、「いつ暴落するんだと。オオカミ少年じゃないの!?」と言いたい(笑)

これ持論なんですけど、勝どきのタワマンだってそんなに広域集客が出来てないって言われてますけど、タワマンってせいぜい半径3kmなんですよ。多分あそこに住んだ人ってららぽーと豊洲に来ない人はいないんですよ。

馬場
馬場

そうなんですよね、絶対に行きますからね。

田端氏
田端氏

僕なんかららぽーと豊洲の駐車場に行列ができているとニヤニヤしちゃいます(笑)なぜかと言うと僕のタワマンはすぐ隣で直結なんですよね。地下通路から行けるんですよ。これ殺し文句なんですけど、「パークシティ豊洲だったらコンビニよりららぽーとの方が近いんですよ!」みたいに言うんです。より築浅に住んでる人でも築古のこっちに買い替えたくなるんじゃないかって思いますよ。

馬場
馬場

本当にそうだと思います。駐車場の問題も大きいですしね。

田端氏
田端氏

そう!超不動産オタク的な細かい事言っていいですかね?

松田
松田

聞かせてください。それを引っ張り出したかったんですよ(笑)

大型駐車場がマンションの資産価値を高めるポイント

田端氏
田端氏

僕の借りてたアーバンドックパークシティ豊洲の駐車場の区画って、2.5tから2.6tまでのカイエンやゲレンデでも駐車できる大型車用の駐車場なんですよ。僕はそこまでの大型車に乗ってなかったんですけど、妻と子供3人もいるから、今後に備えて一番大きい区画を契約しておいたんですよ。

これは大きなポイントになると思ったので、募集用の図面にも大型車歓迎、カイエン・ゲレンデでもOKって記載しました。ただ、超細かい話ですが、まず中古で売却したときに、元々持ってた大型車区画の駐車場の既得権がオーナーに紐付いて次のオーナーに渡せるかどうかは規約によるらしいんですよ。

馬場
馬場

建物管理規約ですね。

田端氏
田端氏

そうです。オーナーが変わった時点でリセットされて、空くのを待ってた次の人が繰り上がる。三井不動産の物件ってどうもそうらしいんですよ(田端氏調べ)。ここに細かく突っ込んできた人もいましたね。「違うんじゃないですか?」って。

不安になって、自分でも調べて中村さんにも聞いてみました。中古で売却する場合は、売却した時点でオーナーチェンジになる。家の所有権と駐車場の使用権は別々なので、その時に1回リセットされると。

一方で売却せずに賃貸で居住者だけ代わる場合は、オーナーチェンジにならないのでそのまま駐車場の使用権を保持できて、同じ区画の物を振り替え出来る事がわかって、安心しました。

川村
川村

ハイエンドの高級賃貸物件だと、「この車が入る大型駐車場ありますか?」から家探しする人って結構多いそうですね?

馬場
馬場

むしろそれしかない、と言っても過言ではないですね。今おっしゃった2.5tから2.6tが1つのキーになります。今はSUVブームで、どの高級車ブランドでも売れ筋なので。

勝どきや豊洲などの湾岸エリアだとまず無いんですよ。と、言いますか絶対に無いんですよ。あの立地で2.5tから2.6tの大型車でも駐車できる大型区画があるというのは資産価値の観点で言うと、本当に強いです。のらえもんさんがおっしゃるようにビンテージになってずっと根付くんですよね。

田端氏
田端氏

気の利いた管理組合だったら、駐車場が自走式だったら白線を引き直せば良いですよね。それくらいはやる価値あると思ってるんすけど。

馬場
馬場

本当に大型の区画は足りてないですから。

田端氏
田端氏

それが分かったから、すぐには必要ないのに、月1万円くらい余分に払って契約しました。車買い替えたいけど、駐車場が無いってなるとどうしようもないですからね。大は小を兼ねるでそっち借りておこうと。

今回、借りていただく方も大型のSUVに乗られてるので、今回は決め手になったと思いますよ。結果として資産価値が高まりました。

馬場
馬場

そうですね。繰り返し言いますけど、豊洲という立地でかつ大型のSUVを駐車できるっていうのはメリットとして非常に大きい

松田
松田

本当にその価値の付け方は凄いですね。不動産会社の人でも気付いてない人が沢山いる。

駐車場の車を見るとマンションの雰囲気が分かる

田端氏
田端氏

住み替え先探しで沢山の物件を見に行ったんですけど、駐車場を見せてもらって駐車してる車を見ると、大体どういう物件かわかるんですよ。「あー、こういう系か」と。ラ・トゥール渋谷とか凄いですよね(笑)

松田
松田

ちなみにどんな感じでした?

田端氏
田端氏

あそこはスーパーカー系が多くてですね。多分、カイエン・ゲレンデが下限じゃないですか。

馬場
馬場

ラ・トゥール渋谷だとベントレー、フェラーリ、ランボルギーニとか多いですよね。あと、ベントレーのSUVのベンテイガとか。

田端氏
田端氏

そういうところから、なんか黒光りした人がゴルフバッグ持って昼過ぎとか土曜日の夕方とか車から降りて来そうな雰囲気で(笑)「いやあ、ここめっちゃギラギラしてていいなぁ」って僕は思いましたけど。

マンション名を名指してしまってすみません(笑)ここ(RENOSYの運営会社GA technologiesの本社が入る六本木グランドタワー)も住友不動産ですけど、決して悪い物件では無いんです。ちょっと僕の家族にはキツイってなりましたけど、芸能人の方とかには凄く良さそうですよね。

松田
松田

ラ・トゥールで言うと、池尻大橋の方とかもね。

馬場
馬場

ラ・トゥール青葉台ですね。あちらはバレーサービスが付いてるんですよ。車好きの方はあちらに行かれる方が多いですね。

川村
川村

めちゃくちゃ話が広がりますね(笑)

田端氏
田端氏

不動産はやっぱり面白いですよね!今回、僕も20件ぐらい見て、港区ワールドもあるなと思いました。

馬場
馬場

港区ワールド(笑)

住み替え先探しで出会った圧巻の港区ワールド

田端氏
田端氏

めくるめく港区ワールドがやっぱりあると思いましたよ。「明らかに貸す気ないだろ!」みたいな。(笑)港区某所の結構大きい物件があったのですが、1階は全部テナントで貸してますと。2階3階にオーナーさんが住んでて、4階をワンフロア貸しますという形。でもちょっとパリのアパルトマンみたいな雰囲気で、吹き抜けに階段があってエレベーターもあるんですけど、もの凄く内装のグレードが良いんですよ。

クローゼットのハンガー掛けるパイプがあるじゃないですか、それがいかにも高級なあしらいになってたり。そういうのを初めて見ました。内装がね、もう「リッツカールトンかよ!」みたいな。ヨーロッパ風で暖炉もあって。

田端氏
田端氏

キッチンも凄くて。150平米以上あって広いし、物件としてはとても良かったんですよ。暖炉のある家に1回ぐらい住んでみたいと思ってたんです。ただ、子供が3人いる身としては、内装のグレードが高すぎたんですよね。素晴らしいんだけど、そのオーナーさんこだわりの小宇宙が広がり過ぎていました。

どうしても子供がぐちゃぐちゃにしちゃいますし、気を遣うよねってことでその物件は見送りました。聞いてみたら入居するには面接試験があるらしく、しばらく入居決まってないそうです。だから絶対に貸す気無いんだろうと。別に貸さなくてもお金には困らない人なんでしょうね(笑)

松田
松田

要約するとですね、「貸してあげますよ、ただ、私のこの趣味は尊重してください」っていうプランが多いですね。特に個人の自宅を貸し出されるパターンの場合は。それが港区ワールドなのかも知れませんね。

田端氏
田端氏

あと僕は鎌倉も好きで。鎌倉に住んでた時期もあるんですよ。鎌倉にも本当にいろんな物件があって面白い。傾斜地があって、海が見えたり山が見えたり。色んな特徴があって飽きないんですよね。港区も結構傾斜地があったりとかして面白い。がま池のウィンザーハウス元麻布とか面白いですよね。

馬場
馬場

あの物件は本当に個性的ですよね!がま池に隣接してるんですよね。

田端氏
田端氏

これは江戸時代から続くパワースポットだとかで凄く良いと思ったんです。けれど、女性は現実的で、うちの妻からは「夏は蚊がわくから」と却下されました(笑)確かに池だから蚊が気になるのは分かるけど。でも雰囲気は凄く良いんですよ。

桜の時期の写真とか凄く良かったですね。池の上を桜が走ってるのを、自分の家からひょいと見下ろせる。そういったユニークな物件が港区には結構あるのは魅力的ですね。

最適化されて画一化されたタワマンの良さもよくわかるんですけど。田の字型の間取りとか。そういうのと比較すると、1軒1軒ユニークで面白いなと。

ハンコ・FAXをはじめ、まだまだ課題の多い不動産業界

川村
川村

田端さんは豊洲にマンション買って住まわれて、今回は賃貸に出されて。一方で鎌倉に住まわれたこともあり、相当な経験値が貯まってると思うんです。

今回の一連の我々のRENOSYというサービスを体験されて、従来の体験の不便さと比べたら便利だったみたいなことはありますか?

田端氏
田端氏

繰り返しになりますが、LINEで営業担当の方とやり取り出来たのは本当に凄く良かったですよね。

馬場
馬場

うちは賃貸部門だけじゃなくて売買部門のエージェントもLINEを使ってお客様とやり取りしてるんですよ。

田端氏
田端氏

あれは個人LINEなんですかね?

馬場
馬場

いえ、LINEWORKSですね。

田端氏
田端氏

じゃあ完璧じゃないですか。もしそうじゃなかったら「LINEWORKSどうですか?」って言おうと思ってた。「何の営業なんだお前」って言われちゃいそうですね(笑)

このままだとただの提灯記事っぽくなっちゃうから、不便だった点を挙げさせてもらうと、やはりハンコですね。今国策として話題にもなってますが、「住み替え先の契約から自宅マンションの賃貸契約まで結局何回ハンコ押したんだ!?」と思わされる体験が残念ですよね。

御社は悪くなくて、業界慣習か法律上の問題なのかちょっと分からないですけど。さすがに何とかならないんだろうかと思いましたよね。

川村
川村

これは現政権下で、いろんなものが改善されていくのではないかと思ってます。2019年から実証実験をやっている不動産売買のIT重説(非対面でのオンライン重説)の本格導入にいよいよ動き出すというニュースも最近出ていました。そうなると、いよいよ不動産取引の完全オンライン化が普及する日も近いという事になると思います。

田端氏
田端氏

実はOYOのインフルエンサー枠でトライアルさせていただいて体験したことがあるんです。あの手軽さは「もうこれでいいじゃん!」って思いましたね。

川村
川村

まさに旅するように暮らすというコンセプトですよね。家具も付いていてまさにサービスアパートメントみたいな感じで、契約手続きも簡単ですし。

田端氏
田端氏

はい、簡単です。あっけないくらい簡単です。通常の賃貸借契約と全然違いますよね。クレジットとかデポジットとかで終わって、ハンコも無くサインだけでした。

契約前の体験も、現地に行って人にも会わずに、メールか何かで受領した解錠番号でキーボックスを開けて鍵を取り出して、それでもう物件の中に入れます。ただ、立ち退きの時は人が来ましたけどね。

川村
川村

体験的に近い賃貸サービスをGA technologiesグループでも提供しています。グループ会社のITANDIがやってるOHEYAGO(オヘヤゴー)というサービスです。いわゆる「セルフ内見」と言って、オンラインで内見予約して、物件の鍵もスマートキーでスマホで開けて、一人で内見して、契約も電子化されています。全ての物件で可能なわけではないですけど、通常の賃貸領域も徐々にオンライン化が進んでいます。

ただ、高級賃貸物件や、売買の領域はまだまだこれからですね。日本のDXを推し進めるデジタル庁も創設されますし、政策にも後押しされ、不動産に関するユーザー体験は利便性がより高まってくると思われます。

田端氏
田端氏

最近では内見を3DとかVRで出来たりしますよね。

川村
川村

そうですね、RENOSYでも3Dウォークスルー内見を展開しています。

松田
松田

RENOSYがやっていきたいこととして、借りる・貸す・買う・売る・投資するといった一連の不動産の領域を横断して、顧客体験のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進めて不動産業界の新たなスタンダードになりたいというのがあります。

川村
川村

はい、これから数年が本当に大きな勝負だし変革のタイミングだと思ってます。頑張っていきます。

田端氏
田端氏

なるほど。注目しています。

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。

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